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ジェネリック医薬品について - 医療コラム

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医療コラム

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ジェネリック医薬品について

当クリニックは希望されればジェネリック医薬品を処方いたします!

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遠慮しないで「ジェネリック薬品で!」とおっしゃってください。

ジェネリック医薬品使用でどれだけ安くなるかのシュミレーション

急性気管支炎で処方された薬がジェネリック医薬品を使用することでどれだけ安くなるか?
をシュミレーションしてみます

咳・痰・発熱を主訴に来院。すべて後発品のある先発品を処方された場合を想定してみます。

先発品 ジェネリック医薬品の場合
  • セフスパンカプセル(100mg)(抗生物質)
    (1カプセル=82.7円)2カプセル 分2
  • メジコン錠15mg(鎮咳薬)
    (1錠=6.4円) 6錠 分3
  • ムコダイン錠500mg(去痰薬)
    (1錠=20.4円) 3錠 分3 7日分
  • ボルタレン坐薬50mg(解熱薬)
    (1本=79円)5本(発熱時に屯用)
  • セフィーナカプセル(100mg)(抗生物質)
    (1カプセル=41.9円)2カプセル 分2
  • アストマリ錠15mg(鎮咳薬)
    (1錠=6.4円) 6錠 分3
  • クインスロン錠250mg(去痰薬)
    (1錠=6.4円) 6錠 分3
  • ジフェナック坐剤50mg(解熱薬)
    (1本=21.4円)5本(発熱時に屯用)
合計金額 2,250円 合計金額 1,231.2円
(これに後発品処方せん料 20 円が追加されるので、実際には 1,251.2 円になります)

ですから、ジェネリック医薬品に変更することで、998.8 円安くなることになりますが、3 割負担では 299.64 円、1割負担では 99.88 円の負担減 となります。

 

高血圧、糖尿病、高脂血症で通院中の処方例。
ジェネリック医薬品を使用することでどれだけ安くなるか?をシュミレーションしてみます。

先発品 ジェネリック医薬品の場合
  • オイグルコン錠2.5mg(糖尿病薬)
    (1錠=15.7円)1錠 分1
  • メバロチン錠10(高脂血症薬)
    (1錠=131.4円)1錠 分1
  • アダラートCR錠40mg(高血圧薬)
    (1錠=80.7円)1錠 分1
  • テノーミン錠50mg(高血圧薬)
    (1錠=116円)1錠 分1
  • パミルコン錠2.5mg(糖尿病薬)
    (1錠=6.4円)1錠 分1
  • プラバロン錠10(高脂血症薬)
    (1錠=52.7円)1錠 分1
  • トーワラートCR錠40mg(高血圧薬)
    (1錠=54.4円)1錠 分1
  • トーワミン錠50(高血圧薬)
    (1錠=10.7円)1錠 分1
合計金額  10,314 円 合計金額 3,726 円
(これに後発品処方せん料20円が追加されるので、実際には3,746円になります)

ですから、ジェネリック医薬品に変更することで、 6,568 円安くなることになりますが、 3割負担では 1,970.4円、1割負担では 656.8円の負担減 となります。

3割負担の方には結構な負担減になるのではないかと考えられますが、これはあくまでも全ての薬がジェネリックに変更が出来た場合です。実際には個々の症例によっても変わってくることをご理解してください。

 

ジェネリック医薬品の処方を受けるにあたってご理解いただきたいこと

1. どの薬にもジェネリック医薬品が存在するわけではありません

まず、一番困るのは、どの薬にもジェネリック薬品が存在すると誤解されていることです。テレビで流れるCMや新聞の一面広告をみていると、いま自分が内服している薬には、どれも必ずジェネリック薬品が存在するかのような印象を与えかねません。

ジェネリックとは一般名(ジェネリックネーム)で扱われる薬のことを指し、「後発品」と同等の意味です。欧米では商品名ではなく医薬品の成分名である一般名で処方されることが普通であり、同成分の内容で商品がいくつか存在すれば安いものが選択されることになります。また、ひと昔前まで日本では、「後発品」はゾロ薬品などと呼ばれていましたが、このマイナスのイメージを払拭する意味からも新薬の特許が切れた後に発売された「後発品」をジェネリック医薬品と呼ぶようになりました。

したがって、現在特許に守られ一定期間独占販売が認められている「先発品」を服用されている方は、その特許が切れるまではジェネリック薬品を希望されても薬自体が存在しないことになります。あきらめるか、可能であれば同様の効果が期待できる他の成分のジェネリック薬品に変更していただくしかありません。しかし、まったく同じ薬(成分)ではありませんので、薬効や副作用の面で期待に沿わない面が出てくるかもしれません。その点はご了承下さい。

 

2. ジェネリック医薬品も実はピンキリ?多くの種類が存在します

ひと口にジェネリック医薬品といっても、やはりその実態は・・・・ピンキリであることをご理解ください。一例をあげると、テレビコマーシャルでもお馴染みだと思いますが「ガスター」という胃薬があります。「ガスター」は商品名であり、ファモチジンが一般名です。効果も安全性も高い薬ですが、「先発品」1種類に対して、「後発品」は21種類もあります。「後発品」にもそれぞれの商品名があります。そして驚くのがその価格です。同じ成分であるにも関わらず、「先発品」が1錠62.5円に対して「後発品」は一番高いのが46.7円で安いのが13.7円です。先発品の22%~75%の価格比です。同じ成分であるなら一番安いものを選んでも構わないのでしょうか?

実は「後発品」メーカーにも色々あって、同じ成分とはいえ効果や副作用の点で違いがあることが指摘されていますしたがって、選択を誤ると安物買いの銭失いということにもなりかねません。しかも、「後発品」のメーカーによっては安定供給できずに、品切れのため途中で処方できなくなることも起こりえます

確かにジェネリック医薬品は安いけれども、このような問題のあることも覚えて置いてください。

商品名 規格 薬価 後発
ガスター錠20mg 62.5 先発
ガモファー錠20mg 23.5 後発
ファモチジン錠20「サワイ」20mg 27.3 後発
チオスター錠20 29 後発
ガスポート錠20mg 23.8 後発
ガスイサン錠20 18.1 後発
ガスメット錠20mg 46.7 後発
ガスドック錠20mg 23.8 後発
ファモスタジン錠20 43.9 後発
ガスリック錠20mg 23.8 後発
プロゴーギュ錠20mg 21.1 後発
ケミガスチン錠20 21.1 後発
ブロスタ-M錠20 38.7 後発
ファモガスト錠20 34.8 後発
ハーフタツミ錠20mg 18.7 後発
ガスペラジン錠20mg 21.1 後発
ガスセプト錠20 28.1 後発
ケラモ錠20 20.7 後発
ファモチジン錠20mg「KOBA」 24.9 後発
モミアロン錠20mg 13.7 後発
ファモチジン錠20mg「アメル」 13.7 後発
ファモチジン錠20mg「イセイ」 13.7 後発

 

3. ジェネリック薬品に代えてもらったのにあまり安くなっていない?

「ジェネリックに変更したのに、薬局で払う金額はあまり変わらなかった」そのようなことをおっしゃる方もいます。例えば精神安定剤であるデパスという薬と便秘薬であるプルゼニドを14日分処方されたとします。それぞれ、1錠が9.0円、6.1円ですので、14日で42錠(1日3回1錠ずつ内服)と28錠(寝る前に2錠ずつ内服)になりますから、薬価だけを単純計算すると合計で548.8円になります。これをジェネリックに変更して計算してみます。それぞれ、9.0円が6.1円に、6.1円が5.7円に下がりますので、合計の薬価も415.8円と安くなります。14日分で133円薬価が下がることになりますが、保険診療の3割負担では39.9円、1割負担では13.3円しか違いませんこれでは薬局で実際に支払う時に、安くなったと実感できる人は少ないのではないでしょうか?(実際には後発品を処方した場合、処方せん料が20円ほど高くなりますので、負担額は3割負担で33.9円、1割負担で11.3円の価格差となります)

もちろん、これまで高い薬価の「先発品」を処方されていて、かなりの薬価差がある「後発品」に変更された場合には、十分に割安感を実感できるかも知れません。
このあたりは処方せんを発行する医師とよく相談されるのがよろしいかと思います。

 

4. 国は医療費が安くなることだけしか考えていないのでは?という気も…

国はジェネリック医薬品の導入に積極的です。理由はズバリ!医療費の抑制です。患者、受診者の利益・利便を最優先に考えているとはどうしても思えません。
まず、国は医薬分業を掲げて調剤薬局を作る政策を進めてきました。門前薬局を廃止して、どの薬局からでも処方を受けられるようにしました。でも、全ての種類のジェネリック医薬品を扱うとなると、単純に現在の倍近い品揃えが必要になります。しかし、これではいつ処方されるかわからない薬まで抱えこむ可能性もあり、不良在庫の山となりかねません。都市部の薬局ではともかく、郡部の薬局ではとうてい無理な話です。
一方、処方する側も商品名でなく一般名で処方すれば問題ないのかもしれませんが、商品名でジェネリック医薬品を処方した場合には、その薬の在庫がないために当日薬が受け取れない事態も生じ得ます。仮に、一般名で処方されたとしても、薬局では後発品の在庫がないために、先発品が渡されるケースがあるかもしれません。
そして重要なのが、2番目の項目でも触れましたが、後発品の安全性と効果の問題です。いずれの薬品も厚労省が認可しているといっても、実際はその効果が劣っていたり、先発品のときにはみられなかった副作用が現れることもあります。後発品メーカーは小さなところが多いので、十分な対応がなされないこともままありますまた、厚労省の指導も十分とはいえません。

ジェネリック医薬品は、個人レベルでも国レベルでも医療費を抑制する方法論として大きな柱になることは言うまでもありませんが、上記の事柄もよくご理解していただければ幸いです。

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